🧠あなたの感情は「脳のプログラム」だった!?
― ヤーク・パンクセップ博士の「7つの一次情動システム」
から感情の正体をひもとく ―
私たちが日々感じる「怒り」「不安」「愛しさ」「孤独」「楽しさ」…
こうした感情は、ただの気分や思いつきではありません。
実は脳の中には、**すべての哺乳類が共通して持つ“感情プログラム”**が組み込まれていて、
それが無意識レベルで私たちの反応や行動を決めているのです。
今回は、神経科学者ヤーク・パンクセップ博士が提唱した、
この“感情のOS”ともいえる「7つの一次情動システム(Primary Emotional Systems)」をご紹介します。
ヤーク・パンクセップ(Jaak Panksepp)博士が提唱した「情動システム(Emotional Systems)」は、人間や哺乳類の脳に備わる原始的で本能的な“感情の神経回路” を指します。彼の研究は、従来の心理学的な「感情」概念を脳科学の視点から明確化し、感情は脳の特定の神経システムによって生理的に支えられているということを証明しました。
🧠 パンクセップ博士の「7つの一次情動システム」(Primary Emotional Systems)
これらは脳の原始的(サブコルチカル)領域に存在し、**人間や動物に共通する“本能的な情動”**とされます。以下はその7つの情動システムとその主な特徴です。
1. SEEKING(探求・欲求・ワクワク)システム
目的: 探索・動機づけ・好奇心・期待感を生み出す
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神経伝達物質: ドーパミン
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働き: 食べ物、情報、学習、快感など、報酬を求める行動の原動力
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例:「何か面白いことないかな?」というワクワク感。
このシステムは、ドーパミンによって活性化されます。やる気・希望・創造力の源であり、人生を前に進めるエンジンのような働きをします。 - 👉落ち込んでいる時や無気力な時は、このシステムが弱っているのかもしれません。
2. RAGE(怒り・攻撃)システム
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目的: 不快やフラストレーションに対して防衛的反応を引き起こす
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神経伝達物質: ノルアドレナリン、テストステロン
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働き: 不正や侵害を感じたときの「戦う」本能
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例:「なんでそんなこと言うの!?」という爆発的な怒り。
理不尽な扱いや抑圧を受けた時に働く防衛システム。
過剰に働くと、パワハラやモラハラ、DVなどの攻撃的な行動につながります。👉 怒りは悪ではなく、自分の境界線を守るためのサインでもあります。
3. FEAR(恐怖)システム
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目的: 危険回避、生命防衛のための反応
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神経伝達物質: アドレナリン、コルチゾール
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働き: 危険が迫ったときに逃げる・身をすくませる反応を促す
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例: 車にひかれそうになって瞬時に飛びのく
「どうしよう…怖い…」という不安と警戒。
恐怖は、生命の安全を守るための大切な機能です。
ただし、慢性的な恐れは**ストレスホルモン(コルチゾール)**の過剰分泌を招き、心身の不調や人間関係の萎縮にもつながります。
4. LUST(性的欲求)システム
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目的: 繁殖、性的関係、種の保存
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ホルモン: テストステロン、エストロゲン、オキシトシン
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働き: 異性への関心、性的行動、親密さを求める動機
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例: 好意を持つ相手と会いたくなる
「あの人ともっと近づきたい」というとき。
生殖本能に基づく感情ですが、単なる性欲だけでなく、
親密さ、つながり、自己肯定感にも深く関係します。👉 健康な性的エネルギーは、自信と活力の源になります。
5. CARE(養育・愛情・慈しみ)システム
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目的: 子育てや仲間を守る愛情的つながり
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ホルモン: オキシトシン、プロラクチン
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働き: 共感・保護・支援の感情を生む
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例: 赤ちゃんを見て「守ってあげたい」と感じる
「大丈夫?守ってあげたい」という優しさ。
母性や父性に関連するシステムで、オキシトシンとプロラクチンが鍵を握ります。共感力・信頼・人との絆を生む大切な感情で、職場や家庭での信頼関係の基盤です。
6. PANIC/GRIEF(分離苦・悲嘆・パニック)システム
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目的: 社会的絆の維持、孤独や喪失の反応
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神経物質: 内因性オピオイド、オキシトシン、プロラクチン
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働き: 仲間との分離、喪失への悲しみ、助けを求める行動を促す
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例: 大切な人を失ったときに感じる深い喪失感
「ひとりぼっち…助けて…」という悲しみと分離不安。
人とのつながりを失ったときに起こるシステムで、
失恋、死別、社会的孤立などの際に深く働きます。👉 長引くと、うつ症状や無気力、拒絶反応にもつながります。
7. PLAY(遊び)システム
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目的: 社会的スキル、創造性、学びの促進
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神経伝達物質: エンドルフィン、ドーパミン
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働き: 安全な環境でのふれあいや笑いを通しての学習・発達
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例: 子ども同士のじゃれ合い、大人の冗談やユーモアのやりとり
「キャッキャッ」と無邪気に笑い合う瞬間。
社会性・学び・創造性の源となるシステムです。
大人になるにつれて忘れがちですが、実は最も人間らしさを育てる感情です。👉 笑いと遊びは、最高のストレス解放ツール!
🌱 応用と臨床的意義
パンクセップの情動システム理論は、心理療法・発達障害・PTSD・うつ病・依存症の治療にも応用されています。
たとえば:
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PANIC/GRIEFシステム が過敏な人は、失恋や孤独に過剰反応しやすい
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SEEKINGシステム が低下すると、うつ的無気力状態になりやすい
-
RAGEシステム が活性化しやすいと、怒りや暴力的衝動に悩まされる
🧬 NK(ニューロ・エナジェティック・キネシオロジー)との接続点
NKでは、パンクセップの情動システムに対応する神経伝達物質やホルモンにピンポイントで働きかけることが可能です。
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**筋肉反射テスト(MRT)**を用いて、どの情動システムが過剰/低下しているかを特定
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ツボや経絡、フィンガーモードを使って、特定の神経伝達物質の分泌バランスを調整
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結果として、怒り、恐れ、悲しみなどの情動が自分でコントロール可能な状態へと変化します
🔄「感情に振り回される」のではなく「感情を使いこなす」へ
これらの情動システムは、どれも私たちにとって欠かせないサバイバル機能。
でも、もしあなたが…-
怒りや不安が止められない
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やる気が出ない
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孤独感に苦しんでいる
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同じ人間関係のパターンを繰り返してしまう
…という状態なら、
どこかの情動システムが「過剰」または「抑圧」されている可能性があります。🧬 ニューロ・エナジェティック・キネシオロジー(NK)で情動システムを調整する
NKでは、筋肉反射テストを使って、
今、どの情動システムがアンバランスなのかを体から読み取ります。-
必要な神経伝達物質やホルモンのバランスを整え
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過剰に働いている情動を落ち着かせ
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抑え込まれていた感情を自然に解放する
その結果、感情の波に飲み込まれることなく、
本来のあなたらしさとパワーを取り戻すことができるのです。
🎯 まとめ:感情はあなたの「敵」ではなく
「ナビゲーター」 -
✨ まとめ
ヤーク・パンクセップの情動システム理論は、感情を「主観的な気分」ではなく、脳内の構造と神経回路に根ざした“システム”として捉えることができるという画期的な視点を提供しています。
そしてその「感情のOS(オペレーティングシステム)」に直接アクセスして、チューニングや再起動を行える方法の一つが、**NK(ニューロ・エナジェティック・キネシオロジー)**なのです。
🧠 パンクセップの情動システム × ゴットマンの7つのキャラクター対応一覧
キャラクター名 | パンクセップの情動システム | 主な働き |
---|---|---|
1. 指揮官 | RAGE(怒り・攻撃) | 境界線を守る、自己主張、正義感 |
2. 探検家 | SEEKING(探求・好奇心) | 創造性、学習、挑戦、未来志向 |
3. 衛兵 | FEAR(恐れ) | 危険察知、安全管理、リスク回避 |
4. エネルギー管理 | LUST(性的欲求) | 生命力、自己肯定感、活力、魅力 |
5. 官能 | PLAY(遊び) | 社会性、軽やかさ、創造性、ユーモア |
6. 道化師 | PANIC/GRIEF(分離・悲嘆) | 喪失の悲しみ、共感、助けを求める |
7. 母性 | CARE(養育・愛情) | 優しさ、育む力、共感、信頼関係 |
1. 指揮官(RAGE/怒り・攻撃)
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適切に働いている時:
自己主張ができる/理不尽に対して立ち上がる/他者の境界を尊重しつつ自分を守れる -
過剰な時:
攻撃的・支配的・高圧的になる/人を責める/パワハラやモラハラに発展 -
過小な時:
言いたいことが言えず我慢しがち/NOが言えない/自分を守れない、自己否定
2. 探検家(SEEKING/探求・好奇心)
-
適切に働いている時:
やる気・創造性・好奇心に満ち、行動力がある/新しい挑戦を楽しむ -
過剰な時:
常に刺激を求めて落ち着かない/ひとつに集中できない/中毒的(情報、買い物など) -
過小な時:
無気力、うつ的/生きる目的が見つからない/希望が持てない
3. 衛兵(FEAR/恐れ)
-
適切に働いている時:
危機察知能力が高く、慎重な判断ができる/リスク管理ができる -
過剰な時:
常に不安や心配でいっぱい/挑戦を避ける/過保護・過干渉・神経質 -
過小な時:
無鉄砲・危険を顧みない/警戒心がなさすぎてトラブルを招く
4. エネルギー管理(LUST/性的欲求・生命エネルギー)
-
適切に働いている時:
自信と魅力を持ち、自己肯定感が高い/心身ともに活力がある -
過剰な時:
性的依存や過剰な自己アピール/エネルギーの使い方が極端になる -
過小な時:
自信がなく無力感にとらわれる/自己否定/性的関心や魅力の喪失
5. 官能(PLAY/遊び・ユーモア)
-
適切に働いている時:
笑いや遊びを通して人とつながれる/創造性・柔軟性が豊か -
過剰な時:
ふざけすぎて信頼を損なう/現実逃避/責任を取らない印象に -
過小な時:
笑えない/冗談が通じない/生真面目で緊張が強い/楽しみがない
6. 道化師(PANIC/GRIEF/分離不安・悲しみ)
-
適切に働いている時:
喪失の痛みを感じ、他者とのつながりを大切にする/共感と自己開示ができる -
過剰な時:
過度な依存・孤独感/被害者意識/感情の渦に巻き込まれる -
過小な時:
感情を感じられない/喪失や悲しみをスルーする/孤独を感じることができない
7. 母性(CARE/愛情・養育)
-
適切に働いている時:
人に優しくできる/信頼関係を築ける/支援・育成・共感ができる -
過剰な時:
過保護・おせっかい/自分を犠牲にしてまで他者に尽くす/共依存 -
過小な時:
他人に無関心/冷淡・批判的/人との距離がある
✨まとめ
ジョン・ゴットマン博士が名付けた「7つのキャラクター」は、
パンクセップ博士の「情動システム」を人間的なキャラとして擬人化することで、誰もが理解しやすくなる見事なモデルです。
そして、これらのキャラクターがバランスよく働いているときこそ、
私たちは自然体で、人間関係も人生もスムーズに進みます。
もし、どれかのキャラクターが「過剰」または「過小」に傾いていると感じたら――
それは、脳内のホルモンや神経系のバランスが崩れているサインかもしれません。
💡 そんなときこそ、ニューロ・エナジェティック・キネシオロジー(NK) の出番です。
筋肉反射テストで、自分の内面にある「情動キャラクターのバランス」を可視化し、
必要な感情やホルモンを自然に調整することができます。